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MiiTel利用開始時の法人確認・本人確認プロセスを効率化した話

はじめに

こんにちは!私はRevCommのCorporate Engineeringグループで主にSalesforce Administrator & Developerとして活動している長谷部です。今回はRevCommが提供するクラウドIP電話サービス「MiiTel」をお客様がご利用を開始するために必要なシステムの内の1つ、「MiiTel Signup」の効率化についてお話したいと思います。

「MiiTel Signup」とは、MiiTelを提供するにあたって必要な法人確認、本人確認システムのことを指します。これは、RevCommが電話転送サービス事業者として遵守すべき犯罪収益移転防止法の要件を満たすために必要なシステムです。

旧システムの課題

今までの「MiiTel Signup」では、業務効率の観点でいくつかの課題がありました。

  • 散らばったシステム: 旧「MiiTel Signup」は顧客情報を管理しているSalesforceとは切り離されたシステムとして構築されていました。これにより、各システム間でデータを連携するために一部手作業での紐づけ業務が発生しており、時間と労力が増大していました。顧客データの一元管理が困難であり、その結果として顧客対応の速度と品質に影響を与えていました。
  • 進捗確認の困難さ : データ連携をする必要があるため、常にリアルタイムで進捗ステータスをアップデートすることができず、法人確認、本人確認の進捗ステータスの確認が煩雑で、作業の効率が低下していました。確認作業は、各システムを切り替えながら行う必要があり、そのたびに時間とエネルギーを消費することとなりました。

上記の課題により、確認作業の工数がそもそも多い上、進捗状況や必要なネクストアクションの特定に手間がかかることで、社内の作業負荷が増幅していました。その結果、重要な業務に集中するための時間が奪われ、全体の作業効率に悪影響を及ぼしていました。

旧システムの概要イメージ

新システムの開発

そこでこれらの課題を解消するために、新しい「MiiTel Signup」システムをSalesforce上に構築しました。

まず始めに、新システムの全体的な構成を理解するために以下のシステム構成図をご覧ください。顧客側入力から確認作業まで全てSalesforce上で完結させるため、以前と比較してシンプルな構成となっています。

新システムの概要イメージ

この新システムは、以下のキーポイントを中心に構築されています。

  • 進捗確認の効率化:顧客が情報を入力する画面はSalesforceのExperience Cloudにより構築され、入力された情報はSalesforce上の顧客データと紐付けられます。これにより、法人確認、本人確認の進捗ステータスを一元管理することが可能になり、データの連携に必要な時間と労力が大幅に削減されたため、煩雑だった作業が大幅に効率化されました。
  • eKYCサービスの見直し : 新しい「MiiTel Signup」では、本人確認に必要な身元確認書類をWebカメラを用いて提出できるようになりました。これにより、顧客が情報を入力する一連の流れで身元確認書類を提出できるようになりました。また、身元確認書類の提出時に顔貌の撮影を行うこともできるようになりました。これにより、身元確認書類と顔貌の比較ができるようになり、間違いなく本人が提出していることを担保することができるようになったため、今まで必要だった郵送による個人宅への住所確認の実施も不要になりました。
  • 操作性の向上:Salesforceの取引先レコードページ上に、法人確認、本人確認の進捗状況やネクストアクションが確認できる管理画面をLWC(Lightning Web Component)で実装しました。この画面では、顧客の現在の法人・本人確認の進捗ステータスやネクストアクションを確認することができ、確認作業における工数を大幅に削減することに貢献できました。 以下のイメージは、この新しい管理画面の一部抜粋です

このようにして、新しい「MiiTel Signup」は、顧客との契約に必要な法人確認、本人確認を効率的に行うためのツールとなりました。次のセクションでは、これらの改修がもたらした具体的な効果について説明します。

改善後の効果

新たな「MiiTel Signup」をSalesforce上に構築したことにより、私達は様々な面で大きな効果を得ることができました。

  • 情報管理の効率化:旧システムでは情報が分散していましたが、新システムでは全ての顧客情報と確認ステータスがSalesforce上で一元管理されるようになりました。これにより、全て顧客のデータに紐づいてeKYCのデータが紐づくため、情報の探し出しにかかる時間と手間が大幅に減り、全体の業務効率が向上しました。
  • レポート機能の活用:Salesforce上で情報が一元管理されるようになったことにより、Salesforceのレポート機能を活用することができるようになったため、作業が必要な取引先のみを瞬時に一覧化することができるようになり、必要な作業の優先順位付けやスケジュール管理が容易になりました。また、Salesforceのレポート機能は非常に柔軟かつ簡単に抽出内容や抽出条件を変更したりできるので、Adminチーム側で必要な情報を抽出するためのレポートを必要に応じて柔軟に作ることができるようになりました。
  • 確認作業の効率化:取引先レコードページ上に管理画面を構築したことにより、社内での確認工数が大幅に削減されました。この画面では、顧客の法人確認や本人確認の進捗状況をリアルタイムで把握し、必要なネクストアクションを明確にすることができます。これにより、確認作業の精度が向上しただけでなく、無駄な手間を削減し、手作業によるミスを防止することも可能となりました。

これらの改善により、社内の業務効率化が図られ、全体としてMiiTelのサービス提供能力の向上に貢献できました。Adminチームのメンバーからも「以前に比べて使いやすくなり、確認作業の工数も大幅に削減できました」という声をいただきました。

まとめ

本記事では、MiiTelを提供するための法人確認・本人確認プロセスを効率化するためのシステム「MiiTel Signup」の再開発についてお話しました。これは我々が犯罪収益移転防止法を遵守するための重要な取り組みです。 旧システムでは顧客情報の一元管理が難しく、法人確認・本人確認の進捗状況の確認が煩雑な状況にありました。そのため、確実な法令遵守を実施するために多くの工数がかかっておりました。しかし、新システムにより、これらの課題が大幅に解消され、工数削減や法人確認・本人確認のリードタイム短縮など、様々な業務効率化が実現しました。

今後も私達は、更なるサービス改善を目指して、必要な改善を逐次行っていきます。今回の取り組みが、業務効率化やCRMの活用に興味のある方々の一助となれば幸いです。