今回は QA チームのインタビューです。
システム開発において QA (Quality Assurance; 品質保証) とは、成果物であるソフトウェアの品質を保証する業務を指します。RevComm においては、MiiTel に不具合がないか、新機能導入時に既存機能との整合性がとれているかなど、お客様に安心して MiiTel を利用いただくために様々な観点からテストをすることがメインの業務です。
RevComm のQA チームは 2022 年 8 月現在でこそ 6 人体制になりましたが、半分ほどのメンバーが 2022 年入社の方で構成されており、まさに、これからチームの基盤を強化していくフェーズになっています。
RevComm が提供している MiiTel は電話サービスであり、高い信頼性が求められます。一方で MiiTel for Zoom を 2022 年 7 月にリリースするなど、まだまだ機能の追加や発展も著しい側面もあります。お客様に MiiTel を安心して使っていただくため、品質向上のための取り組みは重要度を増すばかりです。
そこで今回は MiiTel の品質保証を担う QA チームの廣瀬さん、福田さんのおふたりにお話を伺い、これまでの QA チームの活動や工夫してきたこと、今後やっていきたいことなどについてお聞きしました*1。
新卒から IT 業界で開発、工程管理などに携わり、その過程で QA に関心を持つ。その後、エンジニアやカスタマーサポートの経験を経て、2020 年の 2 月に RevComm にカスタマーサポートとして参画。現在、RevComm の QA チームが属するサポートチームのリーダーを務める。
新卒からプログラマーとして主に Windows アプリの開発等に従事。経験を重ねていく過程で、運用・保守のみならずカスタマーサポートとしても経験を積み、2020年 10 月に RevComm にサポートチームのメンバーとして参画。入社後、サポート業務をする傍ら QA チーム立ち上げに携わる。
お客様の気持ちになってテストする
── QA チームの成立の経緯をまず教えてください
廣瀬: もともと RevComm ではエンジニアの方が責任をもってテストするという方針で、そこは徹底されていました。ですが、開発者だけではどうしてもお客様の利用状況をカバーしきれないことがあり、2021 年の夏頃に福田さんが入社されたのを機に、開発者とは異なる目線でのテストを本格的に始めよう、というのがチーム発足の経緯です。
── RevComm の組織図では QA チームは開発チーム配下ではなく、カスタマーサポートチーム配下になっています。その理由はなんでしょうか
廣瀬: 成り立ちからもわかるように、元からユーザー目線といいますか、お客様の気持ちになってテストをしてみたくなった、というのが発端にあります。それはサポートという仕事をしているからできた発想だったのかなと思います。
大きな開発組織だと、開発部門のQAチームと全体の品質管理の部門とで分かれているような組織もあります。後者がユーザー目線でのテストをするチームで、わたしたちが目指しているのは後者の役割を担うことです。
── 機能を実現できているかなどが中心となる作り手の視点でのテストというより、ユーザー目線でのテストをするチームということですか?
廣瀬: そうです。お客様は開発者が意図しない操作をすることもあるんですが、それを作り手が意識してテストすることは難しいんじゃないかなと。開発者とは違う目線、違う視点でできるテストもあるんじゃないか、その両方のテストをやることで品質面に貢献できるんじゃないかと考えています。
福田: サポートチームに上がってくる問い合わせは開発者やサポートチームも予期していなかった使い方があがってくることもあるので、その知識をテストの観点に活かせるのがいまの体制の強みかなと思っています。
「開発も QA もお互いに尊重し合う」
── QA 業務でやりがいを感じるときはどんなときですか?
福田: 開発者が新たに実装したものが、お客様の目線からするとすごく大きな変化になってしまうなと感じることがたまにありました。これをそのままリリースするとお客様が困ってしまいますよ、ということを開発者に伝えると受け止めてもらえるんですね。そして、じゃあどうしようかという建設的な議論ができます。それが RevComm の凄いところだと思います。
これが仕様なんだよで終わらないで、一回考えようと議論をする場面が結構多いので、気づいたことをお伝えできると、とてもよかったなと思います。
── 議論をして実際に改善につなげられているのは素晴らしいことですね。開発チームとのコミュニケーションで何か工夫していることはありますか?
廣瀬: 福田さんに開発チームのテストや品質改善に関わるチームのミーティングに毎週参加してもらって、開発チームの取り組みをキャッチアップをしています。毎週参加することでお互いの立場を理解しようと努めているとか、小さいことの積み重ねから信頼が生まれていったのかなと思います。
あとやっぱり、開発とテストはぶつかることも正直あると思うんです。でも、率直に意見を交わしてもあまりぶつからないでできているのは、お互い頼っているし、尊重することができているからだと思っていて。それは QA とか関係なく、全社的に相手の立場に立ったコミュニケーションをお互い意識できているからなのかなと思います。
自動化の及ばない領域
── 開発チームと連携して Autify の導入を進めていますが、自動化についてはどんな恩恵を感じていますか?
福田: 単純に、リリース後の手動確認の負荷が軽減されましたね。問い合わせベースの不具合修正をリリースしてもらうとき、今まではその周辺で問題が起きてないかとか不安になることもあったんですが、今はテストが実行されて Slack でテストの成功通知を見るとやっぱり安心感が違います*2。
廣瀬: 自動化自体もそうなんですが、導入を機会に仕様や機能を体系的に整理するきっかけになったと思うんですよね。 サポートチームがこれまで内々で作ってきたテストケースや仕様の整理が開発チームの方に活用いただけたり、逆に開発チームの方がつくったテストケースで新たな観点を知ったり。製品に対する理解をチームをまたいで深めるような相乗効果があったように感じてます。
── ツールの手が及ばない、人の手がどうしても必要な部分ってありますか?
廣瀬: 電話という特性上、お客様の環境や外部要因ということもあるので、そういう部分はどうしてもカバーしきれないところはありますね。 たとえばモバイルアプリの場合、アプリの問題なのか、OS のバージョン差異起因なのか、はたまた端末固有の事象なのかということもあって。切り分けも難しいし、再現が難しいことがあるとどうしても時間がかかりますね。
多くの Web アプリケーションだと、お客様からご報告いただいた事象はだいたいこちらでも再現できるんですけど、電話アプリだと必ずしも再現しきれなかったりするのでそれが難しいなと思いますね。
メンバーが助け合うようになれたら
── これからやりたいことを教えてください
廣瀬: メンバーが増えたので、やっと今までよりも時間を割けるようになってきたので、もっと QA の観点を醸成していきたいですね。 それから QA チームの体制作りに本腰を入れていきたいです。いったんプロダクトそれぞれに対してメンバーをメイン担当にアサインしてという形で体制作りをしていきます。
一方でユーザー目線のテストという観点だと、自分の担当プロダクトしかわからない、だと難しいと思っています。幅広く知識を得るためにも、それぞれのメンバーが助け合って動けるようになれたらいいなと思っています。
── チームとしてより成果をあげるための体制作りをこれから時間をかけてやっていくということですね。これからもご協力よろしくお願いします。今回はありがとうございました!
お知らせ
RevComm の QA チームの大野泰代が、2022 年 10 月 1 日(土)に行われる 「XP 祭り 2022 @ Online 」にて登壇します。
XP 祭りはソフトウェア開発の現場をよりよくするためにできることを発表する場です。大野はRevComm への転職を踏まえて、QA エンジニアが自分のスキルや働き方にマッチした転職方法を紹介する予定です。
QA チームメンバーの話を直接聞ける場になります。お時間ありましたらぜひご参加ください。
終わりに
MiiTel はこれまでになかった価値を届けるプロダクトであると同時に、電話というお客様の業務のインフラとなるプロダクトでもあります。日々お客様が安心して使えるよう、品質保証への取り組みをさらに強化していきます。
この記事を読んで MiiTel の開発や品質保証に興味をもっていただけた方は、ぜひ当社の採用サイトをご覧ください。
企画・聞き手・文責 小島孝弘 RevComm Tech / Backend チーム
聞き手・編集 小門 照太 RevComm Tech / Infrastructure チーム
*1:インタビューはオンラインで実施しました。
*2:より詳しくは Autify 社からのインタビューもぜひご覧ください: