この記事は RevComm Advent Calendar 2022 の 17 日目の記事です。
こんにちは大谷(@sara_ohtani_mt2)です。
今年 10 月に RevComm に入社してバックエンドエンジニアをしています。
今年もあっという間にアドベントカレンダーの季節がきてしまいましたね。
不確実性と闘う皆さん、今年も一年お疲れさまでした!
『THE 有頂天ホテル』という大晦日のホテルを舞台にした映画の中の「年が変われば、いいこともあるわ」という台詞が大好きです。年末になるといつも思い出します。
新年を迎えるというのはただ年がインクリメントされるだけのことのようにも考えられますが、自分の頭と心を整理整頓してまた新しく始めるには、やはりぴったりの機会です。
そこで今日はセルフメンテナンスの基本と 2022 年最新ニュース、そして私がセルフメンテナンスのために行っているオリジナルフレームワークについてご紹介したいと思います。
INDEX
- 『エンジニアリングマネージャーのしごと』に学ぶセルフメンテナンスの基本
- セルフメンテナンス関連キーワードと 2022 年最新ニュースのピックアップ
- セルフメンテナンスのための振り返り
- 振り返りフレームワーク「GNT」のススメ(Notion テンプレート付き)
- RevComm のセルフトークのカルチャー
- 参考
『エンジニアリングマネージャーのしごと』に学ぶセルフメンテナンスの基本
今年 8 月に発売された書籍『エンジニアリングマネージャーのしごと』を読みました。今後、組織課題に関心がある人への定番本となることは間違いないと感じさせる内容でした。
印象的だったのは、部下や他者に対するアプローチに関することだけでなく、セルフマネジメントや自分のメンタルをクリーンな状態に維持する方法についてもかなりページが割かれていたことです。
本の中では繰り返し「まずは自分をマネジメントしなければいけない」と書かれています。これは、自分の中が整頓されていないと仕事でも頭が回らず力が発揮できないから、ということ以外にも、さらにもう 1 つ意味があると思っています。
組織というのは、人の集まりであり、人数が多くなるほど複雑になっていきます。
組織の形で一番小規模なのが、メンターとメンティの 1 対 1 の関係ですが、さらにその前のレベルが、セルフメンテナンスです。
つまり、自分自身をメンティとして、コーチングやケアをするのです。
それによって組織問題解決のためにある様々な手法を試行して勘所や効果を探ることができます。
『エンジニアリングマネージャーのしごと』のセルフメンテナンスに関連するところを切り取ると、例えばこんなことが書いてあります。
チェックリスト形式にしてみました。いくつできているでしょうか?
- ツールを活用して情報を整理整頓している?
- 人脈を広げ、職場に友人ができて支えられていると感じられる状態にしている?
- 上司と語らい、同僚と語らい、家族や友人と語らう時間をもっている?
- 外に出て楽しいことをするようにしている?
- 嫌な感情をもったときには自分と向き合い、なぜそんな感情を持つのか探るようにしている?
- 周囲の面倒を見ることに全力を尽くすのと同じように自分の面倒も見ている?
- 何もしない時間枠を確保している?
- 緊急事態や割り込み、他の人のフォローに備えて、仕事の量を自分のキャパシティの 85% に押さえている?
- 8 時間の良質な睡眠をとっている?
- 1 時間に 5 分は体を動かしている?
- マインドフルネスやっている?(できれば年単位で)
- 自分のこの先 10 年のビジョンと計画、スキルバックログを書き出して適宜更新している?
Checked: 個 / 12 個
並べてみるとあまりに基本的なことだと思う人もいるかもしれません。
しかし基本的なことにもかかわらず、ついつい忙しくなってくると優先度を下げてしまうことではないでしょうか。
忙しいときほど、これらの基本ができているか自分自身を見直す必要があります。
セルフメンテナンス関連キーワードと 2022 年最新ニュースのピックアップ
先程のチェックリストの中で「マインドフルネス」が出てきましたが、正直にいうと私自身はマインドフルネスをこまめには行えていません。
やることはシンプルですが、効果を実感するのは難しいと感じてしまって継続的に実施できずにいます。
ジョン・カバット・ジン(マサチューセッツ大学医学大学院教授・同大マインドフルネスセンターの創設所長)がマインドフルネスについて「何年かやってみれば、どうなるかわかるよ」と言っていたと『エンジニアリングマネージャーのしごと』内で書かれていますが、その境地にはなかなかたどり着けなさそうです。
IT 界隈でマインドフルネスといえば Google ですが、Google がマインドフルネスについて研究開発し始めたのが 2007 年頃とすると、それから 15 年経っていることになります。*1
2022 年現在のトレンドはどうなっているのでしょうか。
近年でマインドフルネスと関連するキーワードとしては、「ウェルビーイング」が浸透しつつあるようです。
「ウェルビーイング」とは「幸福」「健康」などと訳されるワードです。
SDGs にも登場しており、そこでは「GOOD HEALTH AND WELL BEING(すべての人に健康と福祉を)」という形で掲げられています。*2
また 2021 年には、内閣府の「成長戦略実行計画」に、「国民が Well-being を実感できる社会の実現」という記載があり、政府の KPI でもウェルビーイングに関するものが設定されています。*3*4
新型コロナウイルスの影響や生産性・創造性の向上効果への期待から、特に 2021 年後半以降からウェルビーイングのためのメンタルヘルステックへの市場の関心は引き続き高まっているようです。*5*6
emol 社による国内メンタルヘルステックカオスマップの 2022 年版で企業向けアプリがかなり増えていることからもそれは伺えます。*7
個人が日々のセルフメンテナンスのために利用するアプリの中で、私が広告をよく見かけるのは「Calm」や「Meditopia」というマインドフルネスアプリです。*8*9
そして同じくらいよく見かける「Awarefy」というアプリが Google Play ベスト オブ 2022「隠れた名作部門」で大賞を受賞したとのことでした。*10
隠れた名作部門とは、まだ知られていないけれど、イノベーティブでファンを増やしているアプリを Google Play が選出したものです。
Awarefy ではマインドフルネスも行えますが、より広い枠組みである「認知行動療法」をメインコンテンツにしています。
認知行動療法とは、比較的働きかけやすい自分の認知(考え)と行動にアプローチすることで、本来変化させづらい感情や身体反応にもアプローチするという手法です。
例えばネガティブな感情やストレスによる影響の暴走を抑えるトレーニングになります。
アプリでは現在の状態とありたい姿、そしてそれを踏まえた一日の振り返りを記録することができます。
私も実際に Awarefy を使ってみましたが、認知行動療法の振り返りはアジャイル開発の振り返りのワークにも通ずるところがあり、KPT などの振り返りフレームワークを行ったことがある人には特に感覚がつかみやすいように思いました。
セルフメンテナンスのための振り返り
組織関連の仕事に関わっていると表に出せない話も多いと思います。
例えば 1on1 でした話は基本的に他言できないし、評価のことも採用のことも…。
そんな中でモヤモヤがたまってしまうことがあったらどうしたらよいでしょう?(そしてたいてい、ほぼ確実にそれはたまります)
正直になんでも自由に話せる場は本来限られています。
もしどんなことでも話せる心理的安全性が特別高い場を、どこに行っても常に確保できるとしたら、それは自分の強力な武器になりそうです。
そこで、定期的に一人で振り返りフレームワークを行うことをおすすめします。
自分自身をメンティ・メンターとして一人で振り返りを行うぶんには、話してはいけないことなどありません。
そして転職して会社が変わったとしても絶対についてきてくれるメンターを手に入れることができます。
自分を味方につけるということはセルフメンテナンスにおいてとても重要なことです。
振り返りフレームワーク「GNT」のススメ(Notion テンプレート付き)
自分自身を整理整頓するときには、振り返りと向き直りのセットが必要だと考えています。
振り返りは過去をもとに良かったところや問題を検証してより良くしていくワークで、向き直りは「そもそもどこへ向かいたいんだっけ?」ということを改めて整理してそこを目指すためのアクションを考えるワークです。
私はセルフメンテナンスのために、一人で行う振り返りを 2019 年頃から行っています。
最初は KPT をただ一人で行っているというスタイルでした。
KPT は Keep(今後も続けたいこと)、Problem(今後の課題)、Try(次にやってみること) を書き出すシンプルな振り返りフレームワークです。
しかし向き直りとセットにしていなかったことで、目の前のことにばかり囚われすぎて Problem の落とし込みがうまくできていませんでした。
そのぼやけた Problem から出した Try を実行してもどこかズレを感じて、改善サイクルを回しているはずなのに少しずつストレスになっていました。
そこで、「セルフメンテナンスのために一人で行う振り返り」というコンセプトで KPT をアレンジして、GNT (Good / Noise / Try) というフレームワークを作りました。
GNT 形式にアップデートしてから 2 年半ほど経ちましたが、今はこの形で落ち着いています。
進め方は下記の通りです。
- 事前準備として、任意のタイミングで Vision(ありたい姿)を書き出しておく
- Good(よかったこと)を書き出す
- Noise(モヤモヤしてること)を書き出す
- 特に気になる Noise をピックアップして深堀りし、Problem を見つける
- Try を書き出す
- 実行するTry を決める
KPT との主な違いはこの 2 点です。
- Vision を視界に入れながらワークを行う
- とにかく吐き出す Noise パートと必要に応じて深堀りする Problem パートに分ける
細かいやり方と Notion テンプレートはこちらです。
note.com
「最近、漠然と調子が悪いな」と思ったときは特に、ぜひ今日の『エンジニアリングマネージャーのしごと』からつくったチェックリストの内容ができているかも合わせて振り返ってみましょう。
不調からの復活をより再現性のあるものにする
闘う人にとって一番重要なリソースは何でしょうか?
資金力?時間?権力?
いえいえ自分の気力でしょう!と私は思います。
「元気があればなんでもできる!」ではないですが、気力がないと問題を前にしても踏ん張れずに受け流してしまったりするものです。
しかし、気力が常にほとばしっていて尽きない!という人ばかりではないと思います。
少なくとも私はそうではありません。
ただ、気力が尽きてしまっても、できるだけ早く切り替えて立ち直ることならできるかもしれない、と思うのです。
そのために自分の不調に早めに気づいてケアをし、そして過去にモチベーションをあげるのに役立った Try や Good を記録しておくことで、不調からの復活をより再現性のあるものにしていっています。
日々、不確実性と闘う皆さんの中の気力が尽きてしまいそうな人の参考になれば幸いです。
RevComm のセルフトークのカルチャー
RevComm には社内向けのカルチャーブック「RCCB (RevComm Culture Book)」があり、その中にセルフトークについての項目があります。
自分自身を磨き続けよう
・セルフトークの時間を設け、プライベートとビジネス両面について自分自身と対話しよう。
・人と比較して勝つのでなく、昨日の自分に勝とう。昨日の自分と比べて今日はどれだけ成長できるかに励もう。
・自分自身の経験だけで学ぶのではなく、他者から一つでも多く学ぶことで、より自分の価値を高めよう。
・成功するためには苦労が必要ですが、成功しているときも常に失敗が待っています。成功しているときも怠けることなく全力で取り組もう。
・自分の身に起こることより、それに対してどう反応したかで決まります。思考は言葉に、言葉は行動に、行動は習慣に、習慣は性格に、性格は運命になります。(RCCB 一部抜粋)
主要プロダクトである MiiTel も、営業電話のやり取りを解析、可視化したデータをもとに振り返り・セルフコーチングしていただくことで生産性向上につなげるというコンセプトがあります。
10 月に入社したばかりですが、自分と向き合い、こまめにメンテナンスすることを大切にしている会社なのだと感じています。
振り返り好きな方、ぜひご連絡ください!
www.revcomm.co.jp
それではよいお年を!
参考
*1:あなたも実践できる、Google発のマインドフル・メソッドとは? https://careercompass.doda-x.jp/article/335/
*2:ウェルビーイングとは? 注目される理由と、SDGsや経営の視点からみた重要性|SDGsにまつわる重要キーワード解説 https://sdgs.kodansha.co.jp/news/knowledge/40247/#section-1-3
*3:内閣府ホームページより 成長戦略実行計画案 令和3年6月18日 資料3 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2021/0618/shiryo_03.pdf
*4:Well-beingに関する関係省庁の連携 https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/action/index.html
*5:メンタルヘルステック投資額、1~3月6割減 前四半期比 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC236LT0T20C22A6000000/
*6:ウェルビーイング、市場も注目 社員の幸せ実現する会社 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0113Q0R01C22A0000000/
*7:「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2022年版」を公開! https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000043787.html
*8:カリフォルニア発 睡眠・瞑想・リラクゼーションの世界No.1アプリ『Calm』がついに日本上陸 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000071029.html
*9:トルコ発、Z世代向けマインドフルネスアプリが日本参入 https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00004/120600327/
*10:AwarefyがGoogle Play ベスト オブ 2022「隠れた名作部門」で大賞を受賞! https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000057374.html